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02統合医療の実際 アーカイブ

2008年06月24日

統合医療と代替医療

これまで日本では西洋医学を中心とした医療が行われてきました。
しかし近年、西洋医学に代替医療を取り入れた統合医療が注目されています。
今、医療の現場において統合医療が注目されています。
統合医療とはこれまでの西洋医学の医療に、相補・代替医療を組み合わせた医療です。

代替医療とは西洋医学の領域に属さない療法を総称したもので、まだ明らかになっていない分野の多い医療です。

欧米では国をあげて代替医療の研究を進めており、サプリメント療法やハーブ療法などの代替医療が国民に定着しつつあります。
このような欧米の流れを受け、日本でも近年代替医療への関心が高まっています。

日本では明治以降、西洋医学にもとづく治療が中心に行われてきました。
西洋医学は東洋医学などの伝統医療に比べて歴史が浅く、解剖学や生理学を基本に病気を解明し、診察、投薬、手術などの方法で治療を行います。
外傷や感染症、急性期の疾病に効果的で、治療に即効性がある点で優れています。
また科学的根拠に基づいているため、ある程度確実な効果が期待できます。
今や日本は長寿大国となりましたが、それまでに西洋医学は不可欠な要素であったといえます。

日本において医療の技術はめざましい進歩を遂げましたが、未だ西洋医学では解決できない問題が多くあります。
それを補う可能性をもっているのが代替医療です。

西洋医学が薬剤や手術によって病気の原因を除去するのに対し、代替医療の多くは自然治癒力を高めたり、生活習慣の改善によって健康維持やストレス改善、病気の予防などを行います。
代替医療の中には、がんやエイズ、その他の難病に効果があるものもあります。

日本ではまだなじみの薄い代替医療ですが、アメリカでは急速に発展している医学分野です。

代替医療の範囲は広く、漢方、鍼、灸、アーユルヴェーダ、食事療法、心理療法など認められているものだけでも100種類ほどあると言われます。

世界的に見れば代替医療による治療を行っている国は多く、西洋医療を行う国は少数というのが実態です。

近年日本では代替医療への関心が高まっており、1998年には第一回の日本代替医療学会が開かれています。
また代替医療関係者の集結した代替・相補・伝統医療連合会が発足し、新しい代替医療の確立に向けて取り組んでいます。

代替医療の研究において日本は欧米と比較し大幅な遅れをとっています。
今後日本でも代替医療の研究が進み、統合医療が医療の現場で広く浸透し、今後、両者が効果的に組み合わされた統合医療が社会に浸透し、多くの病気を解決することが期待されます。

しかし、西洋医学は薬剤や手術、放射線など非日常的な方法によって病気の原因を取り除く治療であるため、薬剤の副作用、手術の後遺症、医療費の増大などの問題があります。
また最近では医療訴訟やトラブルが多いのも問題となっています。

今日では代替医療ばかりが注目され、西洋医学に否定的な見方が広がっていますが、西洋医学なくしては現在の医療の現場は成り立たないのが現実です。

統合医療において大切なことは、西洋医学と代替医療を区別することなく、すべての手段が治療や健康増進の選択肢となることです。

統合医療と実際の病気

がんは現在で世界的に最も多い病気の一つです。
がんの治療はこれまで現代医学による研究が進められてきましたが、未だ治療の難しい病気です。

日本の病院で一般的に行われているがん治療は大きく分けて、手術、薬、放射線の3つです。
これらの方法はがん細胞を取り除くという西洋医学に基づいた治療方法です。

手術は体内のがん細胞を体から直接切り取る確実な方法ですが、がん細胞を一つ残らず切り取ることは難しく、再発の危険はなくなりません。
また患者の体へ大きな負担を与えることにもなり、病気が回復しても身体的、精神的に大きな障害を残すことにもなります。

抗がん剤、放射線治療はがん細胞に毒を与えて消滅させる方法です。
この方法ではがん細胞以外の健康な細胞にも毒が及ぶ可能性があります。
健康な細胞に毒が及ぶことで、病状が悪化する場合もあります。

このようにがん細胞を取り除く方法は、現代の医療では体への大きな負担が避けられないのが実情です。

近年がん治療において、これまでの西洋医療で不十分な治療を、代替医療で補う統合医療の重要性が唱えられるようになりました。
長い歴史をもつ東洋医学をはじめ、食事療法や免疫療法などの代替医療では、体がもつ自然治癒力や免疫力を高めることを基本としています。
がんを克服するためには、がん細胞を取り除く西洋医学の治療と、体の自然治癒力や免疫力を高める代替医療を組み合わせることが大切だと考えられます。

実際にアメリカでは栄養療法や温熱療法、免疫療法などの代替医療による治療が取り入れられ、がんの治癒や病状改善効果を実証しています


また近年、うつ病は日本人男性の10人に1人、女性の5人に1人が人生で一度は経験するといわれるほど多い病気となっています。

うつ病とは、何かの原因によって生きる意欲を喪失し、憂うつ感や興味、関心が低下するなどの精神的な症状や、人によっては食欲不振や不眠、倦怠感などの身体的な症状が伴う病気です。
辛い症状のために自殺をする人もいるほど深刻な病気です。

かつてうつ病は「こころの病気」と捉えられていましたが、最近では「脳の病気」として捉えられるようになり、脳で分泌される原因物質を抑えることで、症状を緩和する薬が治療で使用されます。

うつ病の人のうち、治療を受けている人はごくわずかだと言われますが、今日では医学の進歩によりうつ病は治療によって治る確率の高い病気となっています。

これまでのうつ病の治療は近代の西洋医学が基本で、精神科や心療内科において投薬中心の治療が行われてきました。
投薬中心の治療では、患者に憂うつ症状があれば抗うつ剤、不眠の症状があれば睡眠薬、不安があれば抗不安薬というように、患者が訴える症状に応じて、薬の種類は増えていきます。
このような対処療法は一時的に症状を緩和することはできますが、根本的な原因を取り除くことはできません。

うつ病の原因には偏った食事や不規則な生活習慣によって、脳に栄養不足が起きている場合が多くあります。

近年、注目されている代替治療では「なぜうつ病になったか」という原因を追究し、治療していきます。
うつ病の治癒には病気の原因を取り除くことが必要です。
そのためには代替医療と、必要に応じて西洋医学を取り入れた統合医療が行われることが重要だと考えられます。

統合医療の実際(1)

【栄養療法】
近年、日本では西洋医療に代替医療を取り入れた統合医療が注目を集めています。
代替医療には多くの種類がありますが、栄養療法もその一つです。

栄養療法とは患者の栄養状態を改善することによって、病気の治療や予防を行う治療です。
不足している栄養素を補給したり、病状によっては制限することで、内臓や血液の働きを改善します。
そして細胞に必要な栄養素を送りこみ、人間が本来持っている自然治癒力を高めます。

栄養療法では、食事や管によって腸から栄養を入れる「継腸栄養法」と、点滴などによる「静脈栄養法」によって栄養補給がされます。

これまで医療の中心となっていた西洋医学では、薬剤や手術によって病気の原因を除去する方法が行われてきました。
しかし薬剤や手術は副作用や体への負担が心配され、また人間の体の不調に西洋医療で解決できない問題が多いことなどから、栄養療法をはじめとした代替療法へ関心が高まっています。

人間は栄養が不足するとお腹がすくだけではなく、さまざまな病気を引き起こします。

体をつくる最も基本的な栄養素を最適な状態に整えることは、病気の治療や予防にとって重要なことです。

現在中高年に多い糖尿病や高脂血症などの生活習慣病は、栄養療法を取りいれることで薬剤の効果を高めます。
また近年増加しているメタボリックシンドロームは、早い段階で栄養療法を行うことで病気のリスクを減らすことができます。

栄養療法は統合治療の進んでいるアメリカでは、難病の治療として既に効果をあげています。
しかし、日本ではまだ保険が適用されておらず、普及していないのが現状です。


【フコイダン】
近年、がん治療ではフコイダンを利用した統合医療が注目されています。

フコイダンとはコンブ、ワカメ、モズクなどの海藻類に含まれている硫酸化多糖類で、ヌルヌルした成分のことです。
フコイダンの主な作用は抗腫瘍作用、コレステロール低下作用、血液凝固阻止作用、胃潰瘍治癒促進作用、肝機能向上作用、抗ウィルス作用、抗アレルギー作用、抗糖尿病作用などがあります。
がんだけでなく、糖尿病、胃潰瘍、ヘルペス、高血圧、慢性肝炎、アトピー性皮膚炎などの多くの現代病の治療に役立つ優れた成分です。

フコイダンには、アポートシス作用、血液新生抑制作用、免疫力強化作用によってがんを抑える作用が明らかになっています。

アポートシスとは古い細胞が自然死する正常な代謝のことですが、フコイダンのアポートシス作用はがん細胞だけに直接働き、がん細胞が死滅するように導きます。

血液新生抑制作用はがん細胞が勝手に血液を作り、がん細胞に溜め込むのを抑制する作用です。
がんの進行を遅らせ、治療の可能性を高める効果があります。

免疫強化作用とは患者の免疫力を維持し、さらに向上させる作用です。

フコイダンをがん治療に取り入れることによって直接がん細胞を抑えると同時に、抗がん剤や放射線療法の副作用が軽くなり、体調や食欲を保ちながら、つらい化学療法を乗り越えられる可能性が高まります。

フコイダンのがん治療効果には、医学的なメカニズムはまだ解明されていないものも多く、現在も研究が進められています。

フコイダンは現在体内に吸収されやすい低分子化処理する研究が進み、飲み薬などによって治療に使用されています。
今後さらに研究が進み、フコイダンを利用した統合医療が多くの人の健康維持に役立つことが期待されます。

統合医療の実際(2)

【サプリメント】
近年の増加している生活習慣病など慢性病の治療では、西洋医療以外に代替医療を取り入れた統合医療が注目を集めています。
代替医療の研究が進んでいる欧米では既に統合医療を取り入れた治療で多くの人が病気を改善しています。

アメリカで行われる代替医療の中で、最も利用の多いものにサプリメント療法があげられます。

今日、サプリメントは日本でも普及していますが、サプリメントの必要性が高まった背景には、食材自体の栄養が昔より減っていることが考えられます。
たとえば人参に含まれるカロテンの量は50年前の8分の1から20分の1にまで減っており、50年前と同じ栄養量を摂りたいと考えれば、人参を8本から20本食べなければいけないことになります。
特に現代はビタミンやミネラルなどの栄養素の不足が健康上の問題となっています。

栄養の偏りや不足によって引き起こされる病気は多くあります。
食事だけで栄養バランスを調整できればよいですが、それは実際には困難なことです。
サプリメントを上手に活用することで簡単に足りない栄養を補うことができ、病気の予防や治癒、改善効果が期待できます。

最近の日本の治療でも、がんにはフコイダン、骨粗しょう症にはカルシウムとビタミンD、更年期障害にはイソフラボンなどのサプリメントが利用されています。

サプリメントは薬局などでも市販され、手軽で効率よく栄養を摂ることができる優れたものですが、病気になったからといってすぐサプリメントに頼るのではなく、運動習慣やストレス改善の努力をすることも重要です。


【免疫療法】
現在がんの統合医療では、免疫療法が多く取り入れられています。

免疫とは人間がもともと備え持っている、異物に対する体の防御機構です。
免疫力を強化することによって病原を排除し、健康な体に戻す治療を免疫療法といいます。

がんをはじめとするさまざまな病気は、免疫力の低下が大きな原因となっています。

免疫力は白血球と深い関係があります。
白血球は体内で有害物質や悪い細胞、細菌やウィルスを排除する重要な役割があります。
免疫療法は白血球を活性化し、病気の原因となる悪い細胞やウィルスを排除する治療です。

免疫療法には、健康食品、免疫賦活剤、サイトカイン療法、ワクチン療法、心理療法、活性化自己リンパ球療法などいろいろな方法があり、単独で実施される場合と、他の現代医療と併せて実施される場合があります。
免疫療法は現在も研究が進められ、新たな方法が開発されています。

これまでの西洋医学による治療では薬剤が多く使われてきました。
薬剤には少なからず副作用あり、患者にとって肉体的な苦痛を伴う治療でもあります。
免疫療法は副作用が少なく、苦痛の少ない治療と言えます。

手術や放射線、薬剤によるがん治療で効果のあがらなかった人で、免疫療法で改善する例が多く見られます。
また、免疫療法はがん治療だけではなく、リウマチや生活習慣病などの改善効果も注目されています。

統合医療の必要性が高まる現在、体の基本的な機能に着目した免疫療法は、今後の医療において重要な役割を担うものと考えられます。

統合医療の実際(3)

【ホリスティック医療】
ホリスティック医療とは、人間の体や心、環境などを総合的に診断し治療する医療を意味しています。
近年、統合医療の重要性が高まる中、代替医療に加え、ホリスティック医療が注目を集めています。

ホリスティックという言葉はギリシャ語で「全体」を意味しています。

代替医療は病に対して施される西洋医学以外のさまざまな医療のことを指しますが、ホリスティック医療は人生や命、生きることなどに対して施される医療を指しています。

ホリスティック医療において大切なことは、人間がもともと備え持っている自然治癒力を高め、増強するための治療です。
そのために病気を治すのは医師ではなく患者本人であること、そして患者自身が生活習慣や環境を改善する「自己療法」を基本としています。

具体的には西洋医学の良い面と、東洋医学や自然療法などの代替医療を統合し、最も適切な治療を行います。
また病気や死に否定的な捉らえ方をせず、病気や死の深い意味を考えながら、奥深い人生を送ることを目指す医療でもあります。

統合医療が浸透していない日本では、まだ統合医療とホリスティク医療の違いが理解されていないのが実態です。

ホリスティック医療は精神疾患、がんなどの生活習慣病、アトピー、膠原病などこれまでの西洋医学では解決が難しい病気の治療で必要性が高まっています。

高齢化社会が進み、生活習慣病が増加する現代、医療に対する人々の考えも多様化しています。

統合医療と同様にホリスティック医療は、今後日本の医療の中心となるべき医療として注目されています。


【ハーブ療法】
統合医療の重要性が高まっている今日、西洋医学以外の代替医療が注目を集めています。
代替医療にはさまざまな種類がありますが、代表的なものにハーブ療法があります。

ハーブ療法は世界でも古くから行われてきた薬用植物を用いた民間療法です。
日本でも漢方や民間薬として、昔から東洋ハーブを医療に取り入れてきました。
西洋医学が発達した今日でも、やけどにはアロエ、風邪にはしょうがと言ったように、私たちの生活の中にハーブ療法は浸透しています。

ハーブは体に負担をかけず、ゆっくり体の免疫力や自然治癒力を引き出します。
ハーブの種類によって効能もさまざまですが、多くのハーブは抗酸化作用、抗ストレス作用に優れています。

日本ではこれまで西洋医療が中心に行われてきましたが、薬剤多用の弊害、医療費の高騰が近年社会問題となっています。
また高齢化社会が進み、生活習慣病やメタボリックシンドロームが増加し、人々は健康への関心が高まっています。
そういった状況の中で、体にやさしいハーブ療法は日本でも少しずつ浸透し始めています。
日本に先駆けて代替医療の研究を進めていたアメリカでは、ハーブを用いたハーブサプリメントや健康食品などは人気が高く、ハーブの健康食品市場は50億円と言われています
現在ハーブ療法は西洋医学の観点からも研究が進められ、代替療法の中では数少ない科学的な根拠のある療法として関心が高まっています。

今後日本の医療の現場では、これまでの西洋医学にハーブ療法などの代替医療が取り入れられた統合医療によって、健康増進や病気の治癒に効果的な医療が行われることが求められています。

統合医療の実際(4)

【鍼治療】
近年注目されている代替医療の中に「鍼治療」があります。
鍼は本来中国医学の一つですが、最近ではアメリカで大きなブームを起こしています。

針治療は鍼の刺激によって体が備え持っている力を引き出す治療方法です。
自然治癒力を高め免疫機能を整える作用や、抗炎症作用、鎮痛効果を高める作用があり、西洋医学の補助的な療法としてさまざまな病気の治療に取り入れられています。

アメリカの食品医薬品局FDAは、当初鍼治療を国の医療として認めていませんでした。
それは科学的な解明がされていないことと、鍼が体の神経や血管を刺す危険性が理由でした。
また鍼による感染の問題も指摘されていました。

今日では鍼学会による働きかけによって問題は解決し、アメリカでは重要な代替医療の一つと考えられています。
またアメリカで麻薬中毒の治療に利用されたことから、鍼治療は世界中で行われるようになっています。

ヨーロッパではホメオパシー治療、ハーブ治療と並んで鍼治療は三大CAM(相補・代替治療)と言われています。

鍼治療は腹痛、便秘などの消化器系の症状から、精神疾患、目、耳、花、咽喉、呼吸系、婦人科系など幅広い病気に効果があります。

これまで日本の医療の中心だった西洋医学では、薬や手術によって病気の原因を除去する治療が行われていました。
しかし現実は西洋医学では解決できない問題が多くあります。
そこで西洋医学に代わる医療として代替医療が注目を浴び、西洋医療と代替医療を統合した統合医療の必要性が高まっています。

こうした時代の流れを受け、日本でも針治療は統合医療の中の重要な医療の一つとして定着することが期待されています。


【伝統医療】
近年医療の現場では統合医療の重要性が唱えられています。
統合医療は西洋医学と代替医療を統合した医療のことです。
代替医療は世界にも多くの種類がありますが、その中に伝統医療と言われる分野があります。

伝統医療にはさまざまな種類があり、代表的なものに「中国医学」、中国医学を日本独自に変化させた「漢方医学」、インドの医学「アーユルヴェーダ」、他にも「自然療法」、「温泉療法」などがあります。

このような伝統医学は人間が本来備え持っている自然治癒力を高めることを基本としています。
また、近代の西洋医療が病気に対する治療を行うのに対して、伝統医療は個人個人の症状にあわせた治療を行うことも大きな特徴です。

伝統医療は西洋医学に比べて歴史が古く、経験的な方法によって生み出された医療であり、ほとんどのものは科学的な解明がされていません。
漢方薬や鍼など最近になり少しずつ解明された医療もありますが、まだすべてが解明されていないのが実態です。

これまで先進国で中心に行われてきた西洋医学は、病気の原因を徹底的に解明し、投薬や手術などの科学的に実証された方法で治療を行います。
さらに統計学的に医学を分析し、治療効果を計ります。

しかし人間の病気には統計学では計り知れない例外があります。
伝統医療は個人を重視する医療であり、西洋医学ではできなかった医療を行います。

このような個人の医学が見直され、西洋医学では解決できない問題を伝統医療に求める人が増加し、今日、伝統医療を取り入れた統合医療に関心が高まっています。

統合医療の実際(5)

【ホメオパシー治療】
日本でホメオパシー治療という言葉はまだ一般的に知られていませんが、近年統合医療の導入が急がれる中、ホメオパシー治療が代替医療の一つとして注目を集めています。

ホメオパシー治療の起源は古代ギリシャにまで遡りますが、近代のホメオパシー治療は今から約200年前に、ドイツの医師であるサミュエル・ハーネマン氏によって始められました。

ホメオパシーのホメオは「同じようなもの」、パシーは「病気」という意味があり、ホメオパシー治療は「同種療法」「類似療法」「同毒療法」とも呼ばれています。

この治療の内容は「症状を引き起こすものによって症状を取り去る」という同種の法則を基本にしています。
アレルギーなどの原因になる物質を、成分がなくなるほど薄めたものを体内に取り入れ、それに対する体の免疫力をつけ病気を治すという体にやさしい治療です。

ヨーロッパではホメオパシー治療と鍼治療、ハーブ治療の三つが、相補・代替医療として基本的な治療法となっています。
イギリスを始め、ヨーロッパの多く国ではホメオパシー医が王室主治医になっています。

現代医学は近年著しい進歩をとげましたが、反面、現代医学で解明されない病気が多くあります。
かつては治療の原理が解明されず、近代医学で否定されていたホメオパシー治療は、現代医学の進歩により原理が少しずつ解明され、近代医学に代わる代替治療として欧米を中心に再び脚光を浴びています。

日本ではまだホメオパシー治療を行っている人は極少数ですが、今後統合医療の重要な治療方法の一つとして日本で定着することが期待されます。


【温熱療法】
最近では統合医療とともに代替医療が注目を集めていますが、代替医療の代表的なものに温熱療法があります。

温熱療法とは体を温めることによって血液の循環を促し、病気の回復能力を高める治療方法です。

人間の体は冷えると血液の循環が悪くなり、さまざまな不調が現れます。
肩こり、腰痛、頭痛、疲れ、内蔵機能の低下、生理通、生理不順などその症状は人によって多様です。
そういった不調は体を温めることで症状の改善が期待できます。
それは体を温めることで血液の循環がよくなる他、神経がリラックスして質のよい睡眠につながり、ストレスや疲れを解消することができるからです。

もともと温熱療法はがん細胞が熱に弱いという性質に着目し、がんの代替治療として開発された治療です。
がんの温熱療法には全身を温める全身温熱療法と、がん細胞とその付近を温める局所温熱療法があります。
現在は局所温熱療法が一般的に行われています。

最近では日本の病院でも統合医療が重視され、温熱療法は放射線治療や抗がん剤の効果を高める代替療法として、他の治療と併行して行われています。

がんと熱との関連性は昔から知られており、1960年代に本格的な研究が始まりました。
未だ温熱療法は研究段階であり標準的治療ではありませんが、治療の難しい局所進行がんや、再発がん治療の選択肢の一つとして考えられるようになっています。
近年日本の多くの病院で温熱療法が導入され、保険の適用ともなり、今後が期待されている治療方法です。

統合医療とアメリカ

今日アメリカでは医療費が世界一の金額となり、医療費の増大が社会問題となっています。
そして、それまでの西洋医療に限界を唱える声や、代替医療の治療費が比較的安価であることから、社会的に代替医療を求める動きが始まりました。

現在アメリカで代替医療を利用している人は国民の45%に上り、医療費は西洋医療による医療費を上回っています。
また教育レベルの高い人ほど、なんらかの代替医療を利用していることも明らかになっています。

代替医療を取り入れた統合医療の考えはアメリカの医学教授、アンドリュー・ワイル氏によって提唱されたことから始まりました。
ワイル氏は伝統医療や薬用植物などの研究を通じて、もともと人が持っている自然治癒力を最大限引き出すための医療が必要だと考えたのです。

アメリカでは1990年代になるとさまざまな代替医療が注目を浴び、公的機関による研究、調査が活発に行われるようになりました。
1992年には世界的な医学研究施設である米国国立研究所の中に代替医療事務局が設立され、今日も代替医療の研究が進められています。
ハーバード大学をはじめとするアメリカの医療系の大学の多くでも統合医療の考え方を取り入れた講義が行われ、統合医療の医師の育成に力を入れています。

アメリカでは代替医療は普及しましたが、西洋医学と代替医療を取り入れた統合医療はまだ少ないのが現状です。
さまざまな医療のよい点を合わせた効果的な治療が行われるために、医学分野の垣根を越えた医療の研究が進むことが求められています。


日本でも近年、医療関連の記事などで統合医療という言葉をよく見かけるようになりました。

現在医療の現場では統合医療の必要性が高まっていますが、統合医療を日本の医療現場に広めたのは、現在東京大学名誉教授である渥美和彦氏によるものが大きいと考えられます。

渥美氏はもともと人工心臓やレーザー医学などの西洋医学の分野では、日本の代表的な人物の1人です。
数々の医学学会で活躍し、医学賞を受賞している国際的に名の知られた人物です。

渥美氏は代替医療という言葉ができる以前から、医師として西洋医学以外の医療に関心を持ち、東洋医学などの研究をしていました。
代替医療や統合医療という言葉が使われる以前には、「第三の医学」として統合医療を提唱していました。

渥美氏は西洋医学の権威者でありながらも代替医療の必要性を説いていますが、それは医学の最先端で試行錯誤を繰り返してきた人間であるからこそ、命のあるべき姿を痛感していると考えられ、渥美氏の考えは多くの人に受け入れられています。

今日では代替医療や統合医療の考えは医療関係者に浸透し、統合医療を積極的に医療に取り入れる動きが見られます。

日本では医科大学にも代替医療の講義が取り入れられ、医師の教育の場に統合医療の考えが重視されています。
また大学の付属病院では統合医療による治療を取り入れる動きが見られます。

統合医療の一人者である渥美氏は、現在も統合医療を日本に定着させるため、あらゆる分野へ精力的に働きかけています。
渥美氏の働きによって統合医療は日本の医療に大きな変革期をもたらそうとしています。

東洋医学と漢方

近年、医療の現場では統合医療の導入が始まりつつあります。
統合医療で取り入れられる代替医療で最もよく知られているものは漢方です。

漢方は古代中国で始まった中国伝統医学で、日本に伝わった後に日本独自の進化を遂げた伝統医療です。
漢方薬による治療だけではなく、鍼や灸なども含まれています。
中国から朝鮮半島を渡って日本へ伝わったのは6世紀中頃と言われ、長い歴史を持っています。

日本では明治以降、西洋医学が医療の中心となりましたが、それまでは漢方などの伝統医療を中心とした病気の治療が行われていました。

西洋医学が取り入れられると漢方は次第に衰退し、公的な医学教育からも排除されました。
その後は医療とは別のものとして存在し、現在も多くの漢方の医師は西洋医療の医師とは別の場で治療を行っています。

近年になり漢方の需要が急速に高まり、医学部の講義に加えられるなど、再び医学教育の場に漢方医学が取り入れられています。

漢方は人がもともと持っている自然治癒力を高め、身体のバランスを整えることで不調を改善します。
そのため患者一人一人の病状や体質を診断し、それぞれに最適な治療を行います。

漢方は西洋医学では解決が難しいあらゆる病状に対処できることが認められ、今日、多くの医師が漢方薬を診療に使用しています。

最近では癌の治療においても西洋医学と漢方による統合医療が行われています。
特に高齢化やメタボリックシンドロームが社会問題となっている日本では、統合医療における漢方は重要な役割を果たす医療と考えられています。

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